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ネット印刷通販を利用する上で注意したい事

いつもお世話になっております。
営業部の田中でございます。

みなさんネット印刷通販をご利用された経験はありますか?

以前からWEBや新聞広告で見かけることはありましたが、最近ではテレビCMでもネット印刷通販の宣伝を見ることが多くなってきました。

これまでは主に、ある程度の印刷知識を持ったデザイナーさんが利用していたネット印刷。

ネット上で、”発注~納品”が完結する敷居の低さからも、学生さんや趣味としてのデザインやイラストを描いておられる方などが利用するケースもどんどん増えてきているようです。

そこで今回は、印刷にあまり詳しくない方に向けて、ネット印刷通販を利用する上での注意点をご紹介したいと思います。

 

ネット印刷通販とは

まずネット印刷通販とは、どういうものなのかをざっくり説明しますと、

その名の通り、インターネットで印刷物の注文が出来るサービスの事です。

では、”印刷会社””ネット印刷通販”、どのような違いがあるのでしょうか?

【印刷会社】

  • 印刷コストについては、基本的には最低経済ロットがあり、少部数の場合は割高になってしまう。しかし、大ロットの場合はむしろこちらの方が安い場合もあります
  • 納期によって値段が変動することは少ない。繁忙期や、必要工程を社内一貫で対応出来ない場合は、ご希望の納期に応えれないことも
  • それぞれの顧客に担当営業が存在し、顧客のご希望・相談を受け、それに適した印刷手段や解決策を提案する
  • 色味にシビアなものでも、印刷会社または製版会社側で色調整をおこなってくれる

【ネット印刷通販】

  • 印刷コストについては、小ロットの場合でもそれに応じた価格が設定されており、全体的に非常に安価
  • 納期の長短によって値段が変動するため、再発注(リピートオーダー)時などには注意が必要
  • ネット上で注文が完結する仕様のため、印刷手段などを顧客自らが決めることが出来る。しかし、ある程度の印刷知識を持っている必要があります
  • 色味については、基本的にデータ製作者側で色調整しなければいけない

ざっくりとこんな感じでしょうか。

この違いをあまり知らないまま、”印刷コストを抑えられる!”と安易にネット印刷を利用すると、

「思っていた仕上がりと全然違う・・・」

「この大ロットだったら、印刷会社を使った方が安かったかな・・・」

なんてことが起こり得るかもしれません。

そんな悲しい出来事が少しでもなくなるように、ネット印刷通販の注意点をしっかり知っていただき、適した使い分けをしていただければと思います。

 

なぜこんなに安いのか

大きな違いの一つとして、その”驚異的な安さ”

印刷会社からすると、価格破壊に近いほど圧倒的な安さのネット印刷通販

仕様しだいでは、通常の印刷代の1/4ぐらいにまで価格が抑えられていることもあります。

ここまで価格のひらきがあると、通常の印刷会社のほうが、”必要以上にお金を頂いているんじゃないか?”といった印象を受けそうですが・・・(汗)

もちろん、そういうワケではなく、印刷会社とネット印刷通販では明確な違いが存在するからなんです。

ここをひも解いていくと、気を付けるべき点が見えてきそうですね。

 

なぜここまで値段が安くできるのかというと、

  • ネット上での注文に特化することで、顧客に対して担当営業が必要なく、人件費が抑えられている
  • また、調整がオートメーション化された、高機能な印刷機を導入することにより、印刷オペレーターの育成にかかるコストが少ない
  • 印刷インキ(プロセスカラー)や使用できる用紙を限定することによって、複数の印刷物を1つの版に付け合せし、現場の工程を簡略化しているため、印刷機の回転(印刷機会)を多くしている
  • 上記の仕様により、ある程度の印刷資材(用紙や版など)を一括に大量に仕入れ、コストを抑えることができる
  • 全国から受注ができるため、大量生産が可能で印刷機を止めることなく稼働することができる。

など、ネット印刷通販会社さんにより、多少の差異はありますが大体はこのような理由があります。

 

では、値段が安い点を踏まえ、どういったことに注意が必要なのでしょうか。

ネット印刷を利用する上で注意する点

【印刷で表現できる可能性がある程度限られてしまう】
仕入コストを抑えるために、特色での多色刷りやプロセスカラーと特色を組み合わせた印刷に対応しているところがあまりありません。

また、選択できる用紙の種類が限られているため、
「今回のDMは、この紙を使いたい!」
といった場合でも、雰囲気の近いもので妥協しなければならないケースも起こり得ます。

【色調整は自己責任で】
”印刷会社””ネット印刷通販”での決定的な違いがここだと思っています。
通常、色校正を上げた後、お客様にチェックしていただき、
「このあたりを全体的に明るくして、ここだけ赤みをおさえてほしい」
などの要望をお受けし、印刷会社や製版会社のプロが修正を行い、印刷の際もオペレーターが逐一色味を確認します。
それでも不安な場合、印刷の立ち合いも可能(立ち合いが不可な会社さんもあります)です。

しかし、ネット印刷通販の場合、色調整を行なってくれるところは確認した限りありませんでした。
そのため、個人でデータ上の色調整を行う必要があります。

色味にこだわりたい・クライアントからシビアな色味を要求されている、といった場合においてはネット印刷通販はリスクが高いと思われます。

【リピート(増刷)のものでも、色味が合わない】
再発注をした場合でも、他の付け合せの印刷物や印刷機が異なるなどの理由で、以前のものに比べると色味や色調に合わないケースが起こり得ます。
印刷会社の場合、基本的にその商品のみを付けた版で印刷します。
また、前回の印刷物を確認しながら調整を行いますので、再現性のバラつきを抑えることが出来ます。

最後に

いかがでしたでしょうか。
印刷会社とネット印刷通販の違いをもっと深く掘り下げることも出来るのですが、今回は印刷にあまり詳しくない方向けということで、この3点にまとめてみました。

決して、私自身はネット印刷通販を否定しているわけではありません。
私も個人的に利用していますが、印刷の精度も非常に高く、仕上がりを見るたびに「この安さでこの仕上がりはコストパフォーマンスが良すぎる・・・」と驚いています。

ただ、そんな便利で品質のいいネット印刷通販でも、万能ではないのです。

安く済ませたいときや気軽に注文したいときはネット印刷通販で。

紙にこだわりたいときやシビアな色味を求められるときには印刷会社で。

などと求められている場面で使い分けて頂けると、より一層印刷を好きになってもらえるのではと思っております。