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光の反射を抑えた目に優しいノート「mahora」をもっと多くの人へ

告知用

今回は弊社でデザイン担当させていただいている、創業90年の無線とじノートの製造を得意とする大栗紙工株式会社様が、昨年2月より発売を開始した自社初のオリジナルノートの新たなラインナップの発表に合わせてクラウドファンディングを始めたのでご紹介させていただきます。

発達障害当事者の声に耳を傾け、うまれた「目にやさしいノート」

告知用

mahora(まほら)は、発達障害当事者の支援団体である一般社団法人「Un Balance(アンバランス)」様と大栗紙工様の出会いから始まりました。
Un Balance様にお話しを伺うと、私たちがこれまで普通に使っていた一般的なノートが、実は発達障害当事者の方達にとっては使いづらいノートだったということを知ったのです。そこから「誰もが使うノートだから、誰もが使いやすいノートでなければいけない」と、そんな想いからmahoraの開発が動き出したのです。

 

 

問題点を細かく拾い上げる

まずは、解消すべき点を明確にするため当事者の方達にヒヤリングとアンケートを実施。その結果を踏まえサンプル作り。そしてサンプルを元に再度ヒヤリングとアンケートを実施しまた改良。この作業を何度も繰り返すことで大きく3つの問題点が見えてきました。
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①紙からの光の反射がまぶしくて文字が書きにくい

白いノートは光の反射が強く発達障害当事者の皆様にとってはまぶしく感じることが分かりました。
これには目の負担を軽減するため、白い紙に比べ光の反射を抑えられた13色の国産色上質紙の中紙サンプルを用意し、その中からまぶしさが気にならない色を選んでいただくことで問題をクリアしました。

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②罫線の差異が分かりにくく文字を書いている途中で行を見失う

今出回っているノートでは、中紙に印刷された罫線が分かりにくく書いている途中で行が変わってしまったり、文字が歪んでしまったりすることでノートをうまく書くことが出来なかったのです。

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そこで中紙の罫線は線幅・間隔など様々な意見を元に試行錯誤を重ね、2種類の罫線にたどり着きました。
1つ目は、太い線と細い線を交互に印刷した「太・細交互横罫」。
この「太・細交互横罫」ははっきりと行が認識できる太い線とその間に細い線を入れることで、2行を使って大きく文字を書くことや、細い線を活用し漢字にフリガナをつけたりと書く内容に合わせて使い分けることが出来ます。また、一番上の罫線と一番下、そして真ん中の罫線に1㎝間隔で印が入っているため、定規を使ってタテ線を引けば表づくりも簡単にできるようになっています。

そしてもう一つは一行ごとに薄い色の帯を印刷した「あみかけ横罫」。
「あみかけ横罫」は罫線ではなく薄い色あみで行を区別しているので行の区別が容易で、英文と和訳を分けて書くことができるので見やすいノートが取れるのが特徴です。また、薄い色あみなのでイラストなどを書いても境界線が邪魔することはありません。

 

③罫線以外の情報が気になる

中紙に印刷される内容に、日付などの記入欄があるとその情報が気になり集中できないということで、中紙には罫線以外の情報を一切なくすことで、横向き・縦向きも気にせず書ける、使う人が自由に使えるノートになりました。

 

 

プロダクトを通じて見えた想い

mahoraノートを開発し、オリジナルブランドを立ち上げた大栗紙工様は今回の取り組みを通じて自分たちのやるべき事や目標が明確になったとお話されました。
実際に購入されたお客さまの中には、自信を持って授業を受けるようになったお子さまや、発達障害当事者でない方からも多数喜びの声をいただいています。これまでノートは当然のように手元にあり、紙は白いのが普通だと思いこまれていましたが、実際はたくさんの人たちがノートをとる時に集中できなかったり、そのせいでやる気がないと言われて辛い思いをした人、そもそもノートせいだと気づかず悩んでいる方などが多くいることを知りました。
今回のmahoraがもっとたくさんの方の手に届けば、ノートを通じてそういった悩みを抱えている人を助けることができるのでは、もっと大きく言えばmahoraを使うことでノートをとるストレスが軽減され、これまでノートのせいで勉強がはかどらなかった子供たちが質の高い教育を平等に受けることができるのではないかと思うようになったそうです。
長年ノートの製造に携わってきた大栗紙工様だからこそ、会社の事業そのものであるノートを通じてできる社会貢献は会社にとっても大きな目標となったのではないでしょうか。

 

もっとたくさんの人へmahoraを届けたい

そして、そんな大栗紙工様がmahoraを今まで以上にたくさんの人に届けるため、新たなラインナップの発表に合わせてクラウドファンディングを始めました。新たに追加される商品は以下になります。

 

シーンに合わせて選べるサイズ

告知用今回は、これまで1サイズ(セミB5)だったノートにご要望が多くあった小さいサイズ、B6・A6・B7の3サイズのmahoraを発表。

 

目に優しい新色が新たに登場!

告知用爽やかで心地の良いグリーン。新色「ミント」が全サイズで仲間入り。

 

 

必要な分だけ手軽に使えるシートタイプのmahoraも新登場!

 

yamazoe告知用_8A4サイズで、レポート用紙として使える。パンチ穴ガイドが付いているから簡単にファイリングできる。

 

mahoraに新たに追加されたサイズやカラーがクラウドファンディングで先行してお得な価格でご購入いただけます。
興味のある方は下記よりご確認ください。

発達障害当事者100名の声からうまれた、目にやさしいノート「mahora」

 

最後に

このmahoraの制作に携わることになって約1年が経ちますが、社会的に意義のある商品が世に出て、実際に使い手の喜びの声を耳にして本当にこのプロジェクトに関わることができてとても光栄に思います。
物が溢れる世の中でエンターテイメント性だけが先走り消費サイクルが早まるような商品とは異なり、mahoraはこれまで気づかなかった事に気づき、インクルーシブデザインの手法を取り入れることで、今までノートに悩まされてきた人に希望の光が見えた素敵な事例だと思います。
これからも、大栗紙工様が目指す「いいモノ」を作るお手伝いができればと思います。

山添/大友D